#11 - raise11.com

細いロープに換える時は事前にテストを

このところ急速に細くなってきたメインロープ。軽いは正義のクライミングでは非常に重要な技術革新ではあるのだが、使う前にちょっと注意を。

二月か三月のアイスクライミングでの話。新調した7.9mmロープをダブルで懸垂下降。数値上は十分この細さにも対応しているはずの某有名ビレイ器を使ったところ、滑って超怖かった(アイスなのでロープが濡れてた&ほぼ新品&そのときの体重が85kgという三十苦もありの……)。いろいろ小細工をする余裕も無く、両手握力全開でテラスまでなんとか誤魔化し、残りはイタリアンヒッチに変えて降りる。
対応の数字だけを見て事前にマッチングのテストをしなかったのも悪いのだが、「いやあ今更だけどイタリアンヒッチって絶妙な制動だわ~」とか思いつつ、ロープが痛むので後で小径ロープに強いギアに買い直した。

ちなみにその7.9mmのロープ。もちろんUIAA規格をパスしたダイナミックロープだがかなり柔らかい。柔らかいと取り回しは良いのだが、いかんせん小径で軽い事もあってかとにかくよく引っかかる。下降のためにロープを投げると、途中に引っかかった分が引っ張っても何しても落ちてくれない。(9mmならちょっと振れば落ちるのに)
岩の溝(て言うかシワ?)、超細い小枝、そして苔!。とにかく少し出っ張っていれば何にでも引っかかり、引っ込んでいれば入り込む。半端な傾斜の所では最初の一発で上手く投げ落とさないと大変で、もし途中に草付きがあったら絶対引っかかる事請け合い、軽いから太さで2mmも無いような枝にまで乗っかってしまい、落とそうとして下手に引っ張ると枝に巻き付いて絡んでしまう。

でさっきイタリアンヒッチに救われた。と書いておいて何ですが、その結果のキンクがすさまじかった! いやあ凄い、知恵の輪か!ってぐらい凄かった。ごまかしごまかしあと少しで地面に到着ってところで、最初の件で用心してバックアップに入れたシャントのところでロープがロック。それがまあなんとつま先が地面に着いた瞬間!(笑)。クライマーなら想像できると思いますが、同じ宙づりでも命に関わりはないものの、見た目がバレリーナでしかも傾斜は出だしが一番キツいから登り返しにくかったり、他に誰かいたら確実に爆笑もの。あと50cmも下がれればいいのにぃー!。

でとっても苦労してなんとか解除。たぶん細くてももう少しロープが固かったらここまでにはならなかったんじゃないかとは思うけど、柔らかいほうが使いやすい部分もあるしねぇ……。

軽量化マニアで細いロープを考えている方、本番前に手持ちのギアとのマッチングをテストしといたほうがいいッスよ、いやマジで(^^;)。

あの人は今?

by RAISE11 0 Comments

東日本大震災の原発事故の話題が出ると思い出す事がある。
当時、事故を伝えるテレビニュースの中で、建屋が爆発したと情報が入ったときに、「爆破ベントだから大丈夫」と繰り返す学者先生たちの中にあって、ただ一人万が一を考え周辺住民に避難を呼びかけた学者がいた。

結果はご存じの通り、意図されたベントではなく水素爆発だったと言われており放射性物質は拡散された。それなのに典型的な正常性バイアスに支配された科学者らしからぬ専門家たちの楽観論と、当時の政府の情報公開のまずさが重なり近隣住民の避難は遅れた。

避難を呼びかけた学者さんは、比較的若い東大の方だった気がする(記憶違いかもしれないが)。だがあれからメディアでは一度も見たことが無い。あの時テレビに呼ばれた専門家の中で、私の知る限りただ一人住民の身を案じた人が、その後どんな人生を送っているのかが心の隅でずっと気になっている。ドキュメンタリー制作者の方が興味を持つといいのだが、政治への忖度が蔓延している今の日本では無理なのだろうか。

ハイブリッド車はキャンプに向かない?

などと書くと驚かれるかもしれません。
「(オプション等で)家庭用電源がとれるハイブリッドカーはキャンプに便利」と言われる事が多いからです。
ですが現状のハイブリッドカー(私が知るのはトヨタの場合ですが)で電源を使いつづけると、バッテリー容量が減ってきた時に自動でエンジンがかかり充電を開始します。これ考えてみれば当たり前なんですが、

結構、うるさいんです。

アルファードハイブリッド(20系)の場合、充電時はアイドリングより少し高い回転でエンジンがまわるので、夜間はかなり気になります。特に忘れた頃に突然エンジンがかかるので、周囲の迷惑を考えると思うように使えません。これではキャンピングカーでおなじみのサブバッテリーのほうが、容量が無くなれば電気が止まるだけでエンジンはかかりませんので都合が良いのです。

ハイブリッドカーの電源はシステムをオンにしておけば、燃料が無くなるまではほぼエンドレスで電力を多く必要とする家電も使える便利さがあります。
これは通常のサブバッテリー(充電が遅い)やポータブル電源(出力や容量が小さい)にはない長所で、エンジンが作動しても周囲の迷惑にならない環境であれば、ハイブリッド車は災害時等の電源供給車として大きな威力を発揮するでしょう。(アイドリング禁止条例等はまた別の話として)

ですが、ことキャンプの夜間のようなエンジンが始動して欲しくない環境ではそうはいかないわけです。
アルファードハイブリッド20系の場合、AC電源供給時はあまり大きな電気を使わなくても案外早くエンジンがかかるので、使える容量はあまり大きくないように思います。電源使用時に使えるバッテリー容量を大きくして、エンジンがかからない「使い切りモード」みたいなものを付けてくれると、様々な用途により便利に使えると思うのですが……。

これは余談ですが、ロケに行く道で機材のバッテリーを充電しながら走ろうと思うと、休憩でエンジンを切った時、次回始動時にもう一度AC供給のスイッチを押さないと給電が開始されません。なのでスイッチを入れ忘れて走り出すと、目的地に着いた時にカメラのバッテリーが充電されていないという悲劇に自動的に見舞われます(笑)。
私はこの悲劇を回避する意味と、バッテリーの充電回数を減らすために、一度モバイルバッテリーに充電して、そこからカメラ用バッテリーに充電する事が多いです(USB供給の充電器は残念ながら海外メーカー頼りですね、ソーラーパネルからでも充電できるなど非常に便利にもかかわらず)。二度手間ですが、長距離の車移動が多いカメラマンには現状のシステムではこれが正解かなとも思います。
日本メーカーの物作りがマスに拘りすぎて、かゆい所に手が届かなくなっているのは少し残念です。

災害時にも使える、その場で作れる簡易ランタン

by RAISE11 0 Comments

 大型台風が近づいているので、一応書いておきますね。
どこの家にでもある物で、懐中電灯やヘッドランプを簡易ランタンにする方法です。必要なのは最近すっかり悪者にされている白いレジ袋。この方法はカメラマンとキャンパーには知っている人がそこそこいると思います。

 白いレジ袋をふわっと適当に膨らましてライトの前にかぶせるだけです。これで光が周囲に広がり、懐中電灯やヘッドランプそのままよりは大分使いやすいランタンになります(光量は大幅に下がりますが、よほど暗くなければ、しばらくすると目が慣れてきます)。

 注意点として、レジ袋は燃えやすいため発熱するライトには使わないでください、発火の危険があります。 袋をランプ部分に密着させないように、 熱が少なそうでも念のため袋の口は塞がずに熱が逃げる隙間を作ったり、袋に小穴をあけて熱気を逃がすなど、とにかく熱には十分注意してください。

↓ちなみに最近では同じ理屈のヘッドランプにつける専用品も売られています。↓

松木沢アイス納め

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA


先週の平日。今季の足尾松木沢アイスクライミングはこれで終了。平日だが近所の低山に行くと思われる日帰りハイカーを二組見かけた。麓はすでに春の様相で、わずか一週間前には干上がってところどころの水たまりとなっていた川は、雪解け水で見事な流れに戻っていた。先週水たまりにうじゃうじゃと閉じ込められていた魚たちはうまく逃げられただろうか? いつも写真を撮りながらで、どうしても登るのか撮るのかどっちつかずになってしまうから、今回はアイスシーズン最終日ということで、撮影はなるだけ控えてアイストレメインにした。

当初今年は例の冷え込みのおかげで一週間ぐらい長く登れるかと思っていたら、三月に入って関東は二日連続で非常に気温の高い日があったためか、通常ならシーズン終わりごろの二月の末でもあれだけ状態が良く太かった松木沢沿いの氷瀑群は、もともと特に太いヤツだけを残してその後一週間で実に綺麗に跡形もなく消えていた。これでは終了は結果的に例年と同じかわずかに早かったかもしれない、平地の気温の変化に簡単に左右されるのは標高の低いアイスゲレンデの宿命ではあるが、今季はさすがに極端だ。

そのまだ残っていた氷瀑もヒョロヒョロで登るには厳しい状態に見えたのだが、それでも探してみればウメコバ出合の近所の、一日中日の当たらない氷瀑が、遠目にわりと良い状態に見えたので、そこで最後の氷を楽しんだ。ただこの氷瀑も下段はなかなか良かったものの、上段は薄くて最上部はすでに浮きはじめていた(360度画像で私の乗ってる辺りね)。

それにしても今季の気温の激変はなんなんでしょね。前の週はまだほぼ凍っていたウメコバ出合前の川床も、その後一週間ですっかり元の川に戻っていた。大きいほうの流れは雪解けで水量も多くなっているので、飛び石がうまくつながらず、はだしで渡るはめになり、「イッテー!!」と叫びながら渡ったり、冷たいことまあ。(帰りはザン靴で走って?突破しましたが)

それにしても、まあなんて言うんだか。今季のまとめとしては「体重戻さなきゃ…」につきるか。当社比10kg以上オーバーはいかんですよやっぱり。指の問題をカバーして、何とかクライミングを続けるべくアックスを握りやすいハンドルタイプに換えた。にもかかわらず前腕がばんばんパンプする。

しかも上手くいかない事はこれらだけではなかった。この日午前中のアプローチでは何事もなかったものが、午後になると突然花粉が総攻撃を開始した。冒頭のTHETAの360度画像は帰りの懸垂下降直前で、目は痒いわ、くしゃみ酷いわでボロボロのワタクシです。念のため持ってきていた薬を飲んで、ちょっと効いてもまだそんなザマ。

※ちなみに冒頭の360度フォトをあまりご存じない方向けに解説しますと、懐かしのウルトラマン系ポーズ(?)を決めているわけではなくて、突き出して大きく写っている手にカメラを握ってシャッターを押すと、カメラ本体は写らずにこうなります。こういう場合は壁側にカメラを持って撮ると、画面のほとんどが横の壁と人物の大写しになり、臨場感を出すには良い場合もありますが、多くは誰がどこで何をしているかさっぱりわからない写真になりがちです。そのため特に意図が無いなら、片側が壁の場合は無理のない範囲でカメラを壁から離すほうが吉と出る場合が多いのです。RICOH THETA等の360度カメラでこの手の自撮りをする場合はご注意を。

危険な改造

ブラックダイヤモンド社(以下BD)のワンタッチアイゼンのトーベイル(つま先の固定金具)をグリベル社アイゼン用のトーベイルに交換する人がいるらしい。特に細身でフィット感の良さそうなSPベイルに交換する人がいるようなのだが、実は私も他所でそれを見かけて試してみた口で、その結果アイスクライミング中にトーベイルが抜けてアイゼンが外れる事態になったのでここでご報告。

もともとこの手の改造は完全に自己責任で、それで事故が起きても誰にも文句は言えないし、化けて出るべきではない。でもできれば何事も無いに越したことはないので、私の結論としてはこの組み合わせは非常に危険なので絶対にやめたほうがいいと言っておく。

各社のワンタッチアイゼンのトーベイルをはめる穴は普通楕円で、ベイル側は棒の端がつぶされて、楕円の形と合ったポジションでだけベイルが抜き差しできるようになっているものが多い。つまり入れた角度とその180度以外、つまり通常使用される角度では抜けない仕組みなわけだ。だがグリベルアイゼンのトーベイルはBDアイゼンのトーベイルよりだいぶ細い。しかしBDアイゼン(今回試したのはサイボーグプロ)のベイルをはめる穴は当然だが自社のベイル用に太く、グリベル用の細いベイルではどの角度でも抜き差しができてしまう。つまりBD社アイゼンにグリベル社アイゼン用のトーベイルをはめると、ベイルの抜け止めが機能しなくなるのだ。

それでも実際に着けてみると、見た目はグリベルのベイルのほうがBDのベイルより穴に深く入っているので、「これだけ棒が深く入っていればそうそう抜ける事はないだろう」と、うっかり考えてしまいがちなのだが、実際には靴に横方向や捻りの力が加わったりすると、ベイルが広がって抜けてしまう事があるようだ。

人によっては「アイゼンの調整が緩かったのでは?」と思うかもしれないが、それまでに何度か調整を繰り返して安定した後だったのでそれはないと言える。それに経験上、人の体重がかかれば、相当うまく調整できたアイゼンでも使用中に軽いズレは起る。雪山で濡れた状態で装着していればなおさらだろうし、アイスクライミングであれば体重に加えて蹴りこみの衝撃も加わる。

そのアイスクライミング中に外れた時の動きを思い出してみると、モノポイントにしていた事もあって靴に若干捻りの力が加わったのだと思う。それはそれほど強いとは思えない力だったが、それでもベイルの外側がアイゼンの穴から抜けてアイゼン全体が外れた。

しかも踵が先に外れた場合と違って、フロントを固定するトーベイルが先に抜けると、いきなり蹴りこみも立ちこみも出来ない状態になる。トーベイルにユーロベイル(ストラップを通せる環の付いた細い金属板)があれば、こうしたときにいきなりの脱落を防いでくれる効果があるが、ユーザーによってはユーロベイルを邪魔として外してしまう人もいる。もしユーロベイルを外した状態で最初にトーベイルが完全に抜け落ちてしまったら、当然トーベイルはどこかに落ちてしまうから、その場でセルフをとって強引に嵌めなおす事も不可能になる。もしそれがいわゆる本チャンの最中だったら… どうなるかは考えるまでもないと思う。
最近のBD社のアイゼンはユーロベイルを省略しているが、それは前述した抜け止めに自信があるからではないかと思う。だからこそその抜け止めを無効にしてしまう改造は怖い。

実際には靴との相性やルート内容の違いなどで、今までたまたま問題なく使えている場合もあるかもしれないが、トーベイルの抜け止めが無効になる時点で、この組み合わせは危険でやるべきではないと考えたほうがいいと私は思う。

※写真–ソロだったんで、急遽アバラちゃんで降りるはめに…

フリークライミングは登山の基礎

今年は寒いから松木沢の奥にある某滝が良く凍っているかもしれないので、すでに時期が遅いがとりあえず行ってみた。

松木沢をウメコバ沢の出会いよりさらに奥へ入るとなると、水位次第では渡るのが面倒な川があるのだが、例年と違って今回は全部氷の上を歩いて渡れた。ここでこんな遅い時期にこれだけ川が凍っているのは珍しいというか、私が知っている範囲では初めてだと思う。

平日だがここまで来る途中にはアイスクライミングのパーティも入っていて、手前の氷瀑までの道には結構立派なトレールが残っていた。ここの氷は例年二月も終盤になれば解け始めているので、それほど多くの人が入るわけではないのだが、今年は寒気が次々に来たからだいたい一週間から10日程度シーズン終わりが遅くなりそうで、皆喜んで飛んできているようである(笑)

凍った川と面倒な砂防ダムを越えてお目当ての滝がある沢の出合まで付くと、遠目に見える滝は思った以上にちゃんと氷瀑になっていた。ここは登攀対象になっている他の松木沢沿いの氷瀑とは違って、日中は日の当たる場所にあるから例年なら良い氷は期待できない。見た感じ難度の点でも登攀対象として特に魅力はなさそうなわりに、手前に深い渕があって渡れないわ、最後にデカいチョックストンはあるわで、そもそもそこまで来るのがだいぶ面倒だし、そんなこんなでガイドブックにも載ってないわけで、たぶんほとんど登られていないと思う。私も今回登るほうはほぼ考えていなかった。 が、時間が余ったら手前の氷瀑で遊ぶつもりでギアは持っていた。そんな時に相手が見た感じで登れそうなレベルまで凍っているのを見ると、写真家の自分を押しのけてクライマーの自分が欲を出す。と言ういつものジレンマに陥るわけだ。

そんなわけで、いざ氷瀑の取付きまで出るとなると、手前の複数の渕を超えなければいけない。だが水量も多く完全凍結は期待できないだろうから、簡単には越えられないはずで、夏場は脇の面倒な尾根を巻いて懸垂下降で降りると何かで見た憶えがある。だが松木沢周辺の尾根は実は相当面倒な場所で、出来ればそれは避けたいのが本音だ。そこで「この冬ならうまくすると渡れないだろうか?」と欲を出した。
とりあえず夏なら浅い川床のはずの場所を恐る恐る歩いていくと、最初の深めの渕が出てくる。そこは向かって左側にだけ30cm程度の幅の通路のように細く雪が乗っていたのだが、その雪の上によく見ると穴が一つぽっかりと…

まあ見るからに先行者の踏み抜きかと… やはり同じことを考える物好きは他にもいたのである。しかしそこを通らないと上の渕にはいけないので覚悟してソロリソロリと踏み出すと、「行けた!」と思った瞬間ズブリ! 哀れ左足は膝まで水中に、本体は一緒に落ちないように咄嗟に手前に倒れて、太ったエビ(見たことないが)のようにズリズリと引き下がる…。

何年振りかで新調した”一流だが型遅れセール品のイターリア製冬季用登山靴の優秀な防水ジッパー” のおかげで、水没した左足はラッキーなことにソックスの上を少し濡らした程度で済んだ。
さてこの渕の左右は切れ落ちた壁なのでここをこのまま突破したければ、左の壁を”へつる”しかないのだが、足場はあるものの手で使えるホールドがあるかは未知数だ。夏場に確認した記憶はない、と言うか本当は忘れた。
出来れば雪の乗った不安定な足場のへつりはやりたくなかったので、自分が踏み抜いた氷の穴に試しにストックを突っ込んでみると全然底がない。同じ底がないでも、もうちょっと下にありそうなのと、全然なさそうなのとでは怖さが全然違う、これはたぶん後者だ、うんなんとなく。落ちるとマジでやばいパターンである。

それにそもそも、無理をしてここを超えても、まだもう一つ上の渕が通れるかも分からないわけで、もしここを抜けてしまって上がダメだったら、このへつりは戻れるのだろうか? すでにバンバン日が当たっているからどんどん状況は悪くなる。帰る頃にはへつりに至る部分の氷が緩んでたりして? もしかして「行きはよいよい帰りはなんとか…」のパターンではないかいな?

そう思って機材を背負った写真家の私は諦めて一旦下がったのだが、クライマーの私が目先の欲に勝てず引き返しへつりを決行、体は一つだから行動は欲望の強い方が勝つ。持論だが『クライマーは基本的に欲望に忠実な人達』なのである。

正味3mちょいかそこらの短いへつりを、三脚から登攀道具一式まで入ったザックを背負ったうえに、小型ミラーレスカメラ二台にレンズ四本が入ったカメラバッグをぶら下げたまま緊張して終える。一息ついて「フリークライマーで良かったぁ~」と心底思った次第。

ちなみに『フリークライミングは登山の基礎である』も私の持論だ。たとえ二本足の歩きだろうと、山である以上バランスを崩しやすい場所や鎖場があったりするし、滑りやすい場所ならそれこそどこにでもある。そんな落ちそうな場所で落ちない、こけそうな場所でこけないための技は、実はフリークライミングの中にすべてあるのである。

※写真はちっこくて良くわからんと思うけど、へつった後上流側から。右の岩沿いの雪の手前の穴が先行者の踏み抜いた穴、奥は私の踏み抜いた穴。結局その上の岩の段に乗って壁沿いをへつった。

そんなわけだが、結局その上の渕は越えられそうもなくて、もう一回ここを戻って尾根からの迂回を試みる私であった。あったのだが…(以下お察し)

偵察

一日空いたので、今シーズン入ろうかなと思っていたところを日帰り偵察。

今年はまあまあ雪が早めで、この日あたりがたぶんギリギリで後日出直しではもう無理っぽい。この後数日晴天が続けば標高の低いところは一旦とけますが、そんな予報じゃないですし。また来年かなあ。※追記-案の定、数日後大寒波襲来で完全にアウト

余談ですが、今一般的なハイブリッド車はエアコン(冷暖房)を入れると夏だけでなく冬も燃費が伸びません。これをスタッドレスタイヤのせいだと勘違いしている人が案外多いですが、今時のタイヤは優秀なのでスタッドレスのせいで気になるほど燃費が落ちたりはまずしません。
ハイブリッド車の燃費を伸ばすには、独特のアクセルワークを憶えてモーターで走る時間を増やし、車になるべくエンジンをかけさせないことですが、暖房をつけると熱を得るためにエンジンが頻繁にかかるので燃費が悪化します。ハイブリッド車は高速道路ではほとんどエンジンがかかりっぱなしになるので燃費が落ちますが、例としては少し極端なもののそれをイメージすると分かりやすいかも。

低燃費命の人なら、夏ならエアコンを止めて窓を開けると言う手がありますが、冬は着ぶくれするしかないわけです。夏は「風を感じている」と気取るか「冷房が苦手で…」と大ウソぶっこけるわけですが、冬の着ぶくれは車に乗ってる気がしないし、いくら着込んでも脚先は冷たいから結局暖房は入れてしまうわけで。つまり現状のハイブリッド車の燃費は夏より冬のほうがよっぽど問題なわけですよ、低燃費マニア的には(笑)。
仕方がないのでいろいろやってみましたが、今乗っている車の場合は暖房の設定温度を25度以下に抑えるとまあまあの結果になります。さらにオートを解除して送風量を下げるとかえってイイ感じに温まる気がします。それでもガラスの曇りを押さえるために外気導入にしている場合は、外気温が4~5度を割ると燃費がかなり落ちてきます、たぶん内気循環と違って外の冷たい空気を温めるせいでしょう。雪国で外気温マイナス10度以下とかの中で走っていると、もうなすすべ無しのお手上げです。

コーヒー好きのデカフェ生活

 クライミングジム通いを中止してすでに半年が過ぎた。体重もばっちり増えた。ギターもクライミングも適当に四捨五入すれば30年生だから、指の関節に問題が生じるのもわからなくはない。指のトラブルは経験の長いクライマーなら少なくないわけだが、私の場合は難度の高いボルダリングは負担が大きすぎてもう無理らしいことを認めざるを得なくなった。ボルダリングの普及に人生の一時期を捧げた自負があるだけに、これは非常に残念でならない。せめて60歳までは続けたかった。まあそうなってもまた65までとか言い出したと思うが。

 これまでも長いことギターか岩かの二択を迫られていたわけだが、水と食料のどちらかをやめろと言われても、どちらもやめられるわけないわけで。ごまかしごまかし決断を先延ばしして来た結果とうとう来るときが来てしまった感じ?
 クライミングはボルダーがダメでもアイスがあるさ。とばかりに相変わらずなんとかならないかと悪知恵を働かせているわけだが、今回はギターのほうがより深刻で、激痛で押さえられないコードもある。超音波治療で痛みは少し楽になったものの、それでも痛いことには変わりない。以前右手中指の負傷で指弾きを諦めたときをさらに上回る酷い状態で、今度は音程を作る左手なので代替が利かない。

 心情的にはもう藁をつかんでブラブラしている感じのなか、噂で病気(っ言うのかな、ケガではないし)への影響が疑われているカフェインの摂取をやめてほぼ一か月が経った。三週間目ぐらいからはっきり痛みが弱くなったが、これがカフェインレスのおかげなのか、単に急性期を脱しつつあるだけなのかは不明。

 そんな中、知人よりファミレスのジョナサンのドリンクバーにカフェインレスコーヒーがあるという朗報が。さらにコンビニのローソンのコーヒーマシンにカフェインレスコーヒーがあるのもわかった(ちょい割高だが…)。いやあ、ありがたい。

 実は私は結構コーヒー好きだ(った)。酒こそたしなむものの、たばこは子供の頃から吸わず、ギャンブルはゲーセンのガチャポンぐらいで宝くじすら買わない(一枚も当たらなかったときのショックが怖い)。そうした気晴らしの代わりといっては何だがコーヒーはよく飲んでいた。特にコンビニコーヒーが普及してからは、毎日バンバン飲んでたわけで、これが一切なくなり水とデカフェ飲料に変わったわけだ。

 しかしいざデカフェ生活を始めてみると、これが結構気を遣うことが判明。まず出先で飲み物を出していただける場合は高確率でコーヒーだったりするので、飲めないことを説明しないといけないのだがこれが結構大変。
 以前から私を知っている人だと無条件でコーヒーを淹れてしまうため、記憶を上書きしてもらうのがちょっと申し訳ない。一方知らない人の場合でも相手が飲み物を出す前に「コーヒーが飲めない」というと、まるで別の飲み物を催促しているみたいだから、相手をそれとなく観察して「おもてなし動作」をいち早く察知しないといけない(笑)。
 さらに、飲み物を先に選べる場合もメニューにデカフェ飲料がない事のほうが多い。
調べてみるとカフェインはコーヒーのみならず緑茶やウーロン茶など様々な飲み物に入っていて、甘い飲み物は体重問題的にもセーブしたいので、それらを除外すると飲めるものは僅かしか残らない。

 日本でデカフェ生活をするのは、まだまだ結構大変だということが良くわかった次第。ちなみに国内でもインスタントのノンカフェインコーヒーは複数あるが、大まかに97パーセントオフと99パーセントオフのものがあるので注意。その気の人はカフェインを抜く方式がいくつかあるので、その製品がどの方式を採用しているのか先に調べてからが良いと思う。
(※追記;生協でカフェインレス[97パーセント]のレギュラーコーヒーを発見、味はローソンのノンカフェインとほぼ同じ感じ、高いけどしばらく試すつもり)

限りある人生

by RAISE11 0 Comments

1月の終わり、ジョン・ウェットンが癌で亡くなった。2ヶ月前にはグレッグ・レイクも同じく癌でこの世を去っている。イギリスのプログレッシブロックを代表するボーカリスト兼ベーシストの二人が相次いで亡くなったことになる。 初めはたぶん中学生の頃だから、二人ともおそらく私が一番長い時間、その声を聞いてきたボーカリストだと思う。


Gleg Lake(King Crimson)


John Wetton(King Crimson)

二人は奇しくも同じバンド、キングクリムゾンのボーカリストとして世界的な名声を得た。グレッグはメジャーデビュー初期のボーカリスト。ジョンはグレッグが脱退したのち、再結成時のボーカリスト。面白いことに、そのずっと後にジョンがASIAから脱退した時の助っ人はグレッグだった。マネージメントの都合は大きかったはずだが、それだけプログレッシブロックの世界でボーカリスト兼ベーシストの大物といえば、この二人が筆頭だった。


Greg Lake(EL&P)

グレッグ・レイクはキングクリムゾンの鬼才ギタリスト、ロバート・フリップと同じギター教室でギターを学んだと言われている。バンド初期のボーカルが抜けたときフリップに誘われ、ボーカル兼ギター/ベーシストとしてキングクリムゾンに参加し、ロックの名盤といえば必ず登場する「クリムゾンキングの宮殿」と他一枚を残す。脱退後に結成したエマーソン・レイク・アンド・パーマーはグレッグをさらなる世界的ビッグネームへと押し上げた、バンドアンサンブルでのボーカルとベースに加え、アコースティックギターによる弾き語りの評価が高く、ソロ歌手としても「I Believe In Father Christmas」が英国シングルチャートで2位を記録し、その後も大物ミュージシャンがこの曲をカバーしている。


Greg Lake

対するジョン・ウェットンは、何度か再結成を繰り返したKing Crimsonの最初の再結成時に、ロバート・フリップの大学時代のギグ仲間だった縁で加入する。透明と評されたグレッグとは対照的な甘くハスキーな声。そして太く激しいジョンのベースは、よりハードな路線に傾倒したクリムゾンにベストマッチで、「太陽と戦慄」「RED」などの名盤を残した。ジョンはそのボーカルと同様、ベースプレイの評価が高く、ベーシストとしてもロキシーミュージックやユーライアヒープ等のバンドを渡り歩いた。音は基本的にイギリスのロックベーシストらしい箱鳴りの強いゴリゴリとした野太い音だが、バンドのカラーや曲調によってピックと指弾き、歪み具合を使い分ける他のプログレベーシストにはあまり見られない繊細さもあった。

さらにいえば、日本人同様リズムがイマイチと言われがちな当時のイギリス人ミュージシャンの中で、安定したリズムを作れる珍しい存在でもあり、前期UKやハウ期のASIAのようにギタリストがパワーコードのリフをまったく弾かないバンドや、後期UKのようにそもそもギタリストがいないバンドでは、ジョンの歪んだベースがリズムギターばりの役割も担っていた。


John Wetton(UK)

Yesのクリス・スクワイア、EL&Pのキース・エマーソン、そして同じくEL&Pのグレッグ・レイクが亡くなり、今回のジョン。この一年でプログレッシブロック黄金期メジャーバンドのメンバーが立て続けに亡くなってしまった。

60年代終盤から70年代前半にかけて大ブームとなったプログレッシブロックは、70年代中頃を越えると急速に衰退していく、ときにオーケストラと共演したり、どんどん曲が長く難解になっていくアカデミックな匂いが鼻についた人も多かったのか、並のアマチュアバンドではコピー演奏ができない。曲が長すぎてラジオ番組でかけにくい。という普及面での困った問題もあり、近い時期に活躍したレッド・ツェッペリンやディープ・パープルのハードロック勢のようなわかりやすさにも欠けていたプログレ勢は、パンクミュージックやエレクトリック・ポップをはじめとする演奏技術に頼らないニュー・ウェーブ勢の台頭とともに低迷期に入る。

しかし80年代に入ると、かつてのプログレミュージシャンたちの逆襲が始まる。70年代のテクニカルで重厚壮大な音楽から、高い音楽性を失わないまま、ハードロックやヘビーメタルよりさらに聴きやすいポップミュージックへの転換。その中でも大きな成功を収めたのが再結成したYesとあのASIAだ。


John Wetton(ASIA)

スティーブ・ハウ(元Yes)、カール・パーマー(元EL&P)、ジョン・ウェットン(元キングクリムゾン)、ジェフリー・ダウンズ(元Yes/バグルス) プログレ黄金期(ジェフだけちょっと世代がずれているが、音楽的にはそれが功を奏した)の大物バンドのメンバーが集まったスーパーバンドという触れ込みで発売されたアルバムは見事に世界中で大ヒットした。
これは、その15年以上も後に製作されたアメリカの悪趣味コメディアニメ「South Park」の中で、ジャイアン風味の悪ガキ”カートマン”が突然「Heat Of The Moment」を歌い出すことからも、どれだけヒットしたかを想像できるだろう。

83年12月、ASIAの初来日公演は日本武道館から全米に向けてテレビとラジオで生中継という、前代未聞の大事として企画された。日本側の放送は公演の間、国際衛星回線を他に使えなくなることで緊急の報道などへの影響があるとかで、キー局ではなくたしかTVKが担当した。このとき武道館の客席に私もいた。

福島県の田舎でジョンが抜けてグレッグが来ると新聞で見たときには、そりゃびっくらこいたもんだった。オリジナルバンドで聞きたいのは当然として、グレッグも大ファンであるEL&Pのボーカリストだったから、それはそれで嬉しいし、どう反応したものか困惑したのを覚えている。当時は一大イベント前の突然のメンバーチェンジで、バンドはいち早く来日し公演まで三週間程にも及ぶ合宿リハーサルを行った、しかしグレッグは本番までに歌詞を憶えきれず、喉の調子も今ひとつで、足元のプロンプターで歌詞を見ながらの少しぎこちない演奏だったが、孤高のギター仙人、スティーブ・ハウ師匠を含め、ヒーローたちを前にした感動は大きかった。(ちなみにTV放送では「The Heat Goes On」がオープニングになっているが、実際は2曲目で、本当のオープニングは「Time Again」だった。)


Greg Lake(ASIA)

グレックの歌はあの時と再結成EL&Pの公演で聴けたが、思えば中学の頃からあれほど長く親しんだジョンの生歌は結局聴けなかった。その声にあまりに長く親しみすぎて、いつも当たり前に存在する人のような気がしていたのかもしれない。今考えればまだ機会はあるだろうと、なんとなくたかをくくっていた部分があるような気もする。
「会いたい人には会える時に会っておかないと後悔する。」というのは学生時代に写真家木原和人氏が亡くなったとき、先に行われた作品展に意地を張って行かなかったことを後悔して思ったことで、実際その後はかなり実践してきたのだが、どうやら私はまた一つ後悔を残してしまったようだ。 ちなみにその合同展のメンバーだったU野さんとは、数年前に偶然共通の知人のパーティーでお会いして隣で酒を飲んだ、U野さんはすでにバッチリ出来上がっていて覚えていないと思いますが^^;)。 自分でチャンスを潰して永遠に会えなくなることもあれば、たまたま偶然に会えることもある。長く生きていると巡り合わせがいろいろあるものだが、会いたい人にはやはり会えるときに会っておくほうがいい。

当たり前の話なのだが、どんなスターでも、どんなに才能豊かでも、人生は有限なのだと、あたらめて実感した。
R.I.P.


(曲はおそらく有名なジャズスタンダード”How High The Moon”)