東日本大震災の原発事故の話題が出ると思い出す事がある。
当時、事故を伝えるテレビニュースの中で、建屋が爆発したと情報が入ったときに、「爆破ベントだから大丈夫」と繰り返す学者先生たちの中にあって、ただ一人万が一を考え周辺住民に避難を呼びかけた学者がいた。

結果はご存じの通り、意図されたベントではなく水素爆発だったと言われており放射性物質は拡散された。それなのに典型的な正常性バイアスに支配された科学者らしからぬ専門家たちの楽観論と、当時の政府の情報公開のまずさが重なり近隣住民の避難は遅れた。

避難を呼びかけた学者さんは、比較的若い東大の方だった気がする(記憶違いかもしれないが)。だがあれからメディアでは一度も見たことが無い。あの時テレビに呼ばれた専門家の中で、私の知る限りただ一人住民の身を案じた人が、その後どんな人生を送っているのかが心の隅でずっと気になっている。ドキュメンタリー制作者の方が興味を持つといいのだが、政治への忖度が蔓延している今の日本では無理なのだろうか。