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松木沢アイス納め

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA


先週の平日。今季の足尾松木沢アイスクライミングはこれで終了。平日だが近所の低山に行くと思われる日帰りハイカーを二組見かけた。麓はすでに春の様相で、わずか一週間前には干上がってところどころの水たまりとなっていた川は、雪解け水で見事な流れに戻っていた。先週水たまりにうじゃうじゃと閉じ込められていた魚たちはうまく逃げられただろうか? いつも写真を撮りながらで、どうしても登るのか撮るのかどっちつかずになってしまうから、今回はアイスシーズン最終日ということで、撮影はなるだけ控えてアイストレメインにした。

当初今年は例の冷え込みのおかげで一週間ぐらい長く登れるかと思っていたら、三月に入って関東は二日連続で非常に気温の高い日があったためか、通常ならシーズン終わりごろの二月の末でもあれだけ状態が良く太かった松木沢沿いの氷瀑群は、もともと特に太いヤツだけを残してその後一週間で実に綺麗に跡形もなく消えていた。これでは終了は結果的に例年と同じかわずかに早かったかもしれない、平地の気温の変化に簡単に左右されるのは標高の低いアイスゲレンデの宿命ではあるが、今季はさすがに極端だ。

そのまだ残っていた氷瀑もヒョロヒョロで登るには厳しい状態に見えたのだが、それでも探してみればウメコバ出合の近所の、一日中日の当たらない氷瀑が、遠目にわりと良い状態に見えたので、そこで最後の氷を楽しんだ。ただこの氷瀑も下段はなかなか良かったものの、上段は薄くて最上部はすでに浮きはじめていた(360度画像で私の乗ってる辺りね)。

それにしても今季の気温の激変はなんなんでしょね。前の週はまだほぼ凍っていたウメコバ出合前の川床も、その後一週間ですっかり元の川に戻っていた。大きいほうの流れは雪解けで水量も多くなっているので、飛び石がうまくつながらず、はだしで渡るはめになり、「イッテー!!」と叫びながら渡ったり、冷たいことまあ。(帰りはザン靴で走って?突破しましたが)

それにしても、まあなんて言うんだか。今季のまとめとしては「体重戻さなきゃ…」につきるか。当社比10kg以上オーバーはいかんですよやっぱり。指の問題をカバーして、何とかクライミングを続けるべくアックスを握りやすいハンドルタイプに換えた。にもかかわらず前腕がばんばんパンプする。

しかも上手くいかない事はこれらだけではなかった。この日午前中のアプローチでは何事もなかったものが、午後になると突然花粉が総攻撃を開始した。冒頭のTHETAの360度画像は帰りの懸垂下降直前で、目は痒いわ、くしゃみ酷いわでボロボロのワタクシです。念のため持ってきていた薬を飲んで、ちょっと効いてもまだそんなザマ。

※ちなみに冒頭の360度フォトをあまりご存じない方向けに解説しますと、懐かしのウルトラマン系ポーズ(?)を決めているわけではなくて、突き出して大きく写っている手にカメラを握ってシャッターを押すと、カメラ本体は写らずにこうなります。こういう場合は壁側にカメラを持って撮ると、画面のほとんどが横の壁と人物の大写しになり、臨場感を出すには良い場合もありますが、多くは誰がどこで何をしているかさっぱりわからない写真になりがちです。そのため特に意図が無いなら、片側が壁の場合は無理のない範囲でカメラを壁から離すほうが吉と出る場合が多いのです。RICOH THETA等の360度カメラでこの手の自撮りをする場合はご注意を。

危険な改造

ブラックダイヤモンド社(以下BD)のワンタッチアイゼンのトーベイル(つま先の固定金具)をグリベル社アイゼン用のトーベイルに交換する人がいるらしい。特に細身でフィット感の良さそうなSPベイルに交換する人がいるようなのだが、実は私も他所でそれを見かけて試してみた口で、その結果アイスクライミング中にトーベイルが抜けてアイゼンが外れる事態になったのでここでご報告。

もともとこの手の改造は完全に自己責任で、それで事故が起きても誰にも文句は言えないし、化けて出るべきではない。でもできれば何事も無いに越したことはないので、私の結論としてはこの組み合わせは非常に危険なので絶対にやめたほうがいいと言っておく。

各社のワンタッチアイゼンのトーベイルをはめる穴は普通楕円で、ベイル側は棒の端がつぶされて、楕円の形と合ったポジションでだけベイルが抜き差しできるようになっているものが多い。つまり入れた角度とその180度以外、つまり通常使用される角度では抜けない仕組みなわけだ。だがグリベルアイゼンのトーベイルはBDアイゼンのトーベイルよりだいぶ細い。しかしBDアイゼン(今回試したのはサイボーグプロ)のベイルをはめる穴は当然だが自社のベイル用に太く、グリベル用の細いベイルではどの角度でも抜き差しができてしまう。つまりBD社アイゼンにグリベル社アイゼン用のトーベイルをはめると、ベイルの抜け止めが機能しなくなるのだ。

それでも実際に着けてみると、見た目はグリベルのベイルのほうがBDのベイルより穴に深く入っているので、「これだけ棒が深く入っていればそうそう抜ける事はないだろう」と、うっかり考えてしまいがちなのだが、実際には靴に横方向や捻りの力が加わったりすると、ベイルが広がって抜けてしまう事があるようだ。

人によっては「アイゼンの調整が緩かったのでは?」と思うかもしれないが、それまでに何度か調整を繰り返して安定した後だったのでそれはないと言える。それに経験上、人の体重がかかれば、相当うまく調整できたアイゼンでも使用中に軽いズレは起る。雪山で濡れた状態で装着していればなおさらだろうし、アイスクライミングであれば体重に加えて蹴りこみの衝撃も加わる。

そのアイスクライミング中に外れた時の動きを思い出してみると、モノポイントにしていた事もあって靴に若干捻りの力が加わったのだと思う。それはそれほど強いとは思えない力だったが、それでもベイルの外側がアイゼンの穴から抜けてアイゼン全体が外れた。

しかも踵が先に外れた場合と違って、フロントを固定するトーベイルが先に抜けると、いきなり蹴りこみも立ちこみも出来ない状態になる。トーベイルにユーロベイル(ストラップを通せる環の付いた細い金属板)があれば、こうしたときにいきなりの脱落を防いでくれる効果があるが、ユーザーによってはユーロベイルを邪魔として外してしまう人もいる。もしユーロベイルを外した状態で最初にトーベイルが完全に抜け落ちてしまったら、当然トーベイルはどこかに落ちてしまうから、その場でセルフをとって強引に嵌めなおす事も不可能になる。もしそれがいわゆる本チャンの最中だったら… どうなるかは考えるまでもないと思う。
最近のBD社のアイゼンはユーロベイルを省略しているが、それは前述した抜け止めに自信があるからではないかと思う。だからこそその抜け止めを無効にしてしまう改造は怖い。

実際には靴との相性やルート内容の違いなどで、今までたまたま問題なく使えている場合もあるかもしれないが、トーベイルの抜け止めが無効になる時点で、この組み合わせは危険でやるべきではないと考えたほうがいいと私は思う。

※写真–ソロだったんで、急遽アバラちゃんで降りるはめに…

フリークライミングは登山の基礎

今年は寒いから松木沢の奥にある某滝が良く凍っているかもしれないので、すでに時期が遅いがとりあえず行ってみた。

松木沢をウメコバ沢の出会いよりさらに奥へ入るとなると、水位次第では渡るのが面倒な川があるのだが、例年と違って今回は全部氷の上を歩いて渡れた。ここでこんな遅い時期にこれだけ川が凍っているのは珍しいというか、私が知っている範囲では初めてだと思う。

平日だがここまで来る途中にはアイスクライミングのパーティも入っていて、手前の氷瀑までの道には結構立派なトレールが残っていた。ここの氷は例年二月も終盤になれば解け始めているので、それほど多くの人が入るわけではないのだが、今年は寒気が次々に来たからだいたい一週間から10日程度シーズン終わりが遅くなりそうで、皆喜んで飛んできているようである(笑)

凍った川と面倒な砂防ダムを越えてお目当ての滝がある沢の出合まで付くと、遠目に見える滝は思った以上にちゃんと氷瀑になっていた。ここは登攀対象になっている他の松木沢沿いの氷瀑とは違って、日中は日の当たる場所にあるから例年なら良い氷は期待できない。見た感じ難度の点でも登攀対象として特に魅力はなさそうなわりに、手前に深い渕があって渡れないわ、最後にデカいチョックストンはあるわで、そもそもそこまで来るのがだいぶ面倒だし、そんなこんなでガイドブックにも載ってないわけで、たぶんほとんど登られていないと思う。私も今回登るほうはほぼ考えていなかった。 が、時間が余ったら手前の氷瀑で遊ぶつもりでギアは持っていた。そんな時に相手が見た感じで登れそうなレベルまで凍っているのを見ると、写真家の自分を押しのけてクライマーの自分が欲を出す。と言ういつものジレンマに陥るわけだ。

そんなわけで、いざ氷瀑の取付きまで出るとなると、手前の複数の渕を超えなければいけない。だが水量も多く完全凍結は期待できないだろうから、簡単には越えられないはずで、夏場は脇の面倒な尾根を巻いて懸垂下降で降りると何かで見た憶えがある。だが松木沢周辺の尾根は実は相当面倒な場所で、出来ればそれは避けたいのが本音だ。そこで「この冬ならうまくすると渡れないだろうか?」と欲を出した。
とりあえず夏なら浅い川床のはずの場所を恐る恐る歩いていくと、最初の深めの渕が出てくる。そこは向かって左側にだけ30cm程度の幅の通路のように細く雪が乗っていたのだが、その雪の上によく見ると穴が一つぽっかりと…

まあ見るからに先行者の踏み抜きかと… やはり同じことを考える物好きは他にもいたのである。しかしそこを通らないと上の渕にはいけないので覚悟してソロリソロリと踏み出すと、「行けた!」と思った瞬間ズブリ! 哀れ左足は膝まで水中に、本体は一緒に落ちないように咄嗟に手前に倒れて、太ったエビ(見たことないが)のようにズリズリと引き下がる…。

何年振りかで新調した”一流だが型遅れセール品のイターリア製冬季用登山靴の優秀な防水ジッパー” のおかげで、水没した左足はラッキーなことにソックスの上を少し濡らした程度で済んだ。
さてこの渕の左右は切れ落ちた壁なのでここをこのまま突破したければ、左の壁を”へつる”しかないのだが、足場はあるものの手で使えるホールドがあるかは未知数だ。夏場に確認した記憶はない、と言うか本当は忘れた。
出来れば雪の乗った不安定な足場のへつりはやりたくなかったので、自分が踏み抜いた氷の穴に試しにストックを突っ込んでみると全然底がない。同じ底がないでも、もうちょっと下にありそうなのと、全然なさそうなのとでは怖さが全然違う、これはたぶん後者だ、うんなんとなく。落ちるとマジでやばいパターンである。

それにそもそも、無理をしてここを超えても、まだもう一つ上の渕が通れるかも分からないわけで、もしここを抜けてしまって上がダメだったら、このへつりは戻れるのだろうか? すでにバンバン日が当たっているからどんどん状況は悪くなる。帰る頃にはへつりに至る部分の氷が緩んでたりして? もしかして「行きはよいよい帰りはなんとか…」のパターンではないかいな?

そう思って機材を背負った写真家の私は諦めて一旦下がったのだが、クライマーの私が目先の欲に勝てず引き返しへつりを決行、体は一つだから行動は欲望の強い方が勝つ。持論だが『クライマーは基本的に欲望に忠実な人達』なのである。

正味3mちょいかそこらの短いへつりを、三脚から登攀道具一式まで入ったザックを背負ったうえに、小型ミラーレスカメラ二台にレンズ四本が入ったカメラバッグをぶら下げたまま緊張して終える。一息ついて「フリークライマーで良かったぁ~」と心底思った次第。

ちなみに『フリークライミングは登山の基礎である』も私の持論だ。たとえ二本足の歩きだろうと、山である以上バランスを崩しやすい場所や鎖場があったりするし、滑りやすい場所ならそれこそどこにでもある。そんな落ちそうな場所で落ちない、こけそうな場所でこけないための技は、実はフリークライミングの中にすべてあるのである。

※写真はちっこくて良くわからんと思うけど、へつった後上流側から。右の岩沿いの雪の手前の穴が先行者の踏み抜いた穴、奥は私の踏み抜いた穴。結局その上の岩の段に乗って壁沿いをへつった。

そんなわけだが、結局その上の渕は越えられそうもなくて、もう一回ここを戻って尾根からの迂回を試みる私であった。あったのだが…(以下お察し)

コーヒー好きのデカフェ生活

 クライミングジム通いを中止してすでに半年が過ぎた。体重もばっちり増えた。ギターもクライミングも適当に四捨五入すれば30年生だから、指の関節に問題が生じるのもわからなくはない。指のトラブルは経験の長いクライマーなら少なくないわけだが、私の場合は難度の高いボルダリングは負担が大きすぎてもう無理らしいことを認めざるを得なくなった。ボルダリングの普及に人生の一時期を捧げた自負があるだけに、これは非常に残念でならない。せめて60歳までは続けたかった。まあそうなってもまた65までとか言い出したと思うが。

 これまでも長いことギターか岩かの二択を迫られていたわけだが、水と食料のどちらかをやめろと言われても、どちらもやめられるわけないわけで。ごまかしごまかし決断を先延ばしして来た結果とうとう来るときが来てしまった感じ?
 クライミングはボルダーがダメでもアイスがあるさ。とばかりに相変わらずなんとかならないかと悪知恵を働かせているわけだが、今回はギターのほうがより深刻で、激痛で押さえられないコードもある。超音波治療で痛みは少し楽になったものの、それでも痛いことには変わりない。以前右手中指の負傷で指弾きを諦めたときをさらに上回る酷い状態で、今度は音程を作る左手なので代替が利かない。

 心情的にはもう藁をつかんでブラブラしている感じのなか、噂で病気(っ言うのかな、ケガではないし)への影響が疑われているカフェインの摂取をやめてほぼ一か月が経った。三週間目ぐらいからはっきり痛みが弱くなったが、これがカフェインレスのおかげなのか、単に急性期を脱しつつあるだけなのかは不明。

 そんな中、知人よりファミレスのジョナサンのドリンクバーにカフェインレスコーヒーがあるという朗報が。さらにコンビニのローソンのコーヒーマシンにカフェインレスコーヒーがあるのもわかった(ちょい割高だが…)。いやあ、ありがたい。

 実は私は結構コーヒー好きだ(った)。酒こそたしなむものの、たばこは子供の頃から吸わず、ギャンブルはゲーセンのガチャポンぐらいで宝くじすら買わない(一枚も当たらなかったときのショックが怖い)。そうした気晴らしの代わりといっては何だがコーヒーはよく飲んでいた。特にコンビニコーヒーが普及してからは、毎日バンバン飲んでたわけで、これが一切なくなり水とデカフェ飲料に変わったわけだ。

 しかしいざデカフェ生活を始めてみると、これが結構気を遣うことが判明。まず出先で飲み物を出していただける場合は高確率でコーヒーだったりするので、飲めないことを説明しないといけないのだがこれが結構大変。
 以前から私を知っている人だと無条件でコーヒーを淹れてしまうため、記憶を上書きしてもらうのがちょっと申し訳ない。一方知らない人の場合でも相手が飲み物を出す前に「コーヒーが飲めない」というと、まるで別の飲み物を催促しているみたいだから、相手をそれとなく観察して「おもてなし動作」をいち早く察知しないといけない(笑)。
 さらに、飲み物を先に選べる場合もメニューにデカフェ飲料がない事のほうが多い。
調べてみるとカフェインはコーヒーのみならず緑茶やウーロン茶など様々な飲み物に入っていて、甘い飲み物は体重問題的にもセーブしたいので、それらを除外すると飲めるものは僅かしか残らない。

 日本でデカフェ生活をするのは、まだまだ結構大変だということが良くわかった次第。ちなみに国内でもインスタントのノンカフェインコーヒーは複数あるが、大まかに97パーセントオフと99パーセントオフのものがあるので注意。その気の人はカフェインを抜く方式がいくつかあるので、その製品がどの方式を採用しているのか先に調べてからが良いと思う。
(※追記;生協でカフェインレス[97パーセント]のレギュラーコーヒーを発見、味はローソンのノンカフェインとほぼ同じ感じ、高いけどしばらく試すつもり)

元クライミングフォトグラファーの料理教室

肉

豪州牛の赤身でもこれだけ油が出てくる。ちなみに内臓ストロボ光をアルミホイルで曲げて壁バンしただけ。もう少しでグロになるギリギリのシズル感?

お久しぶりでござんす。夏場いわき市に行ってきたり、先日は相変わらず足尾に入ったりとそこそこ書けることはあるのですが、まとめるのが大変なのでそのうちに…。
で本日のお題。昨今クライマーといえば、世代によって頭に思い浮かぶイメージがずいぶん違うはず。たぶん60代後半~70代くらいの人は小太りで髭面の小さなオッさんとかを想像するかもしれませんが、いまの優秀なクライマーは、みんな吹けば飛びそうなぐらいヒョロヒョロに痩せている。

筋骨隆々に見えても、良く見れば筋肉が付いているのはほぼ肩と背中だけで、女子の場合はかなり筋肉がついてみえるけど、それも基本的には肩と背面中心。

最近はフリークライマーに限らず、アルパインクライマー(山の壁を登るいわゆる”登山家”)もトップクラスはフリーでも高レベルだから、同じく痩せている。人工壁を登ろうが、山の壁を登ろうが、それこそ歩く山だろうが、登るという行為は常に重力に逆らうんだから、体が軽いほうが有利なのは当たり前なのであります。

ついでに言うと、アルパインクライマーの中でもヒマラヤなどの高所が舞台の高所クライマーも、あるだけで酸素を無駄に消費する肉は少ないほうが有利として、遠征前は激しいクライミングをやめて筋肉を落とす人もいる。
「寒いんだから脂肪が多いほうが…」と考えるのは、昨今のスピードイコール安全の運動量の多い速攻登山に限っては間違いで、脂肪は余計な重りと考えるのが普通。運動の燃料に脂肪をつけるマラソンランナーがいないのと似たような感じか。

そういうわけで、現役のクライマーたちは日々体重維持や減量に涙ぐましい努力をしてるのである。ワールドカップ優勝でおなじみ、世界的コンペクライマーの安間佐千氏、過去日本人最強のアルパインクライマー山野井泰史氏、両氏ともベスト体重はたしか50kg台だったはずだ。

元祖世界最強日本人フリークライマー平山ユージ氏は、例外的に体重が重い事で知られたが、それでも一番重かった頃で70kg程度だったと思う。私個人は、高レベルを狙うクライマーは、身長が何mあろうと体重は60kg台までがベストだろうと考えてる。クライマーにとって体重が重くて良い事はまったくない。万年70kg台だった私はずっと故障に泣かされた。

そういえばもう10数年以上前の話になるが、今やベテランのトップフリークライマーW氏がまだ高校生だった頃、当時各牛丼チェーンから次々に登場していた豚丼が結構うまいという話を取材の合間にしたら、彼は開口一番こう言った。

「それ、脂ありますか?」

食いたい盛りの男子高校生でもこれである。フリークライマーにとって肉と言えば、味どうの以前に脂が少ないかどうかの方が、はるかに気になるのである。

そこからさらに昔に遡ることかなり前、まだ自然の岩でコンペを行っていた頃、選手の宿舎になった宿が、「スポーツマンなら肉が好きだろう」と考えたのか、気を利かせて肉メインの料理を出したところみんな残した。なんて逸話もあった。
当時の世間一般の常識と、フリークライマーの常識があまりにもかけ離れていたが故の事故だった。ちなみに最近は炭水化物の摂取をコントロールしつつ(本番前とトレーニング期では摂り方が違う)、肉類をガッツリ食べる人も結構いるから、当時みたいに極端なことにはならないと思う。

そうは言っても、減量期など無駄な油の使用を減らしたい時はやっぱりある。そんなクライマーの端くれの端っこからすでに転げ落ちてしまったオジさんである私が、同じく減量に悩む世間の皆さんに、オレ流の「油を使わない”肉と野菜の炒め物”」の調理法を伝授しちゃるべ。(まあなんと長い前フリだ。)

まずは当然、焦げ付かない加工のフライパン、そして必ず蓋を用意。ガラスで中が見える蓋ならベスト。薄い肉をフライパンにそこそこ丁寧に敷き、火は可能なかぎりの弱火、←これ重要。そして蓋をして待つ。とにかく待つ。じっと待つ。すると、もともと肉の中にある脂が熱で溶けて油として滲み出てくる。普通、肉ならばよほどの赤身でもこうすると油が出てくるものだ、これが普通の火加減だったら焦げ付いてしまうだろう。

後は肉厚と出てきた油の量に応じて火加減を調節しながら焼き、熱を回すために蓋をして火が通るのを待つ。すき焼き用の薄切り肉であればさして時間はかからないし、肉が硬くなるとか縮むとかもあまり気にしなくていい。てか細かいことは気にするな、デブるのとどっちがマシだ、よく噛みゃいいじゃないか(笑)。

そして火が通ったら野菜を投入。しつこいようだが肉が硬くなるのがどうしても嫌なら、火が通ったところで脇にあげておくのだ。野菜を炒める火かげんは、肉から出てきた油の量次第だが、焦げ付きそうに見えたら少し塩を振る。わずかな塩をふるだけで、浸透圧で野菜から水分が出て、焦げ付かないで火が通る。事実上の蒸し焼きだから当然はじめは蓋をしよう。水が多すぎると本当の蒸し焼きになって、炒め物のパリパリ感が完全に無くなってしまうから、もし野菜から水が出すぎたら捨てるか蓋を開けて飛ばしてしまう。可能であれば後半は少し火を強めにするといい感じに仕上がることが多い。

ちなみに、私はやらないが塩の代わりに実は砂糖でもいいらしい、どちらにしても、量は後の味付けを考慮して決めるといい。

以前は私も、少量の水を足して半ば蒸し焼きにしていたのだが、パリパリ感がなくなるのが嫌で、水を減らす方策はないか?と考えてたら、好物のすき焼きを作るときに、野菜から大量の水が出てきて割下が薄くなって困ったことを思い出して、この方法に行き着いた。世の中何が役に立つか本当にわからないものだぴょんでござるだっぺ。

ウメコバ沢

ウメコバ沢 – Spherical Image – RICOH THETA


 16年3月中頃。全景を見せようとすると迫力がイマイチ…上流はミックス(雪と岩が混ざっている)部分のほうで、上流を向いて右側、左の突起の向かいに聳えるのが中央岩峰。冬季にアイスクライミングの対象となる滝はまだ少し上流で、ミックス部分の中にあり見えないが、この時期には融けて崩れている。
※もし画面が真っ黒になる方はブラウザを再読み込みしてみてください。それでダメなら左下のTHETAロゴをクリック。

最近は松木渓谷と呼ばれているようだが、若い頃から「松木沢」と呼んでいたので、そのほうが私にはしっくりとくる。かつては冬のアイスゲレンデとして名高く、夏もトラディショナルな山岳登攀の入門ゲレンデとして、北関東近県のクライマーには良く知られた存在だった。

この渓谷に流れ込む沢の中で、ウメコバ沢は通常クライミング対象になる沢としては最も奥に位置する最も大きな支流だ。沢に入れば両岸に登攀対象になる岩壁と岩稜がドカーンと聳える日本離れした異景なのだが、わずかとはいえ入り口の細い滝の周辺を登攀しないと入れないことから、クライマー以外は特に訪れる人の少ない沢だ。というか、そのクライマーの間でも今の松木はあまり人気があるとは言えないエリアである。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

16年2月後半頃のウメコバ沢出合、暖冬で雪も氷も少ない。左右は壁、正面には7m程度の滝があるが、この場を超えないと素直に沢には入れない。この滝は現在フィックスが架かっているものの、岩がとても脆いので私は岩が出ている時はここを登らず、帰りに持参のロープで懸垂下降する。登りは私の左後ろに見える水が落ちている左脇からグルッと巻くのが比較的楽だ。(山岳グレードで3mのチョロい三級→二級のちょい怖いへつり(氷があるとヤバい)→三級+か四級で3m程度のチムニー瞬間芸)

時代の趨勢が山岳登攀からフリークライミングへと移って久しい現在。脆い岩が多く昔懐かし山岳登攀の要素の濃い松木渓谷の岩場を訪れる人はそれほど多くない。しかもン十年前までは一番アプローチの近いジャンダルムのすぐ手前まで車で入れたのだが、今は当時よりも1時間ちかく手前の銅親水公園脇に電波式ゲートができてしまったため、訪れる人は余計に少なくなったようだ。

そんなわけで、マイナーな存在のアルパインクライマーの間でもマイナーな場所なので、ここがどんなところかを自分の目で見た人は相当限られるだろう。
であれば雰囲気だけでもどうぞ…ということで、冒頭にウメコバ沢の全天球写真を公開(たぶん世界初?)。左右の岩場の見えている部分の奥に、尾根に向かってまだまだ岩稜が連なっているのだが、視点が低いのでわからないところが残念。

日本全国津々浦々には、道路脇の小さな岩にすら名前がついていて、それをかなり無理ゲーで観光スポットにしているところがたくさんあるというのに、ここの有り余る岩と特異な風景はクライマーを含めたごく限られた人々にしか知られず、何十年も堂々と…かつひっそりと存在している。

と言っても、ここまでの道のりが弛まない落石と崩落によるガレ場だらけで、年々崩壊が進んでいる状況なのだから、観光用に整備しようとしたら、よほどの大規模工事でもしないとどうにもならないのが実際のところだろう。
しかし主たる観光資源が庚申山周辺と銅山観光にほぼ限られたこの地において、これがこのままなのは、ちょっともったいない気がするのも正直な気持ちではある。(静かなここは好きなんだけど。)