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松木沢アイス納め

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA


先週の平日。今季の足尾松木沢アイスクライミングはこれで終了。平日だが近所の低山に行くと思われる日帰りハイカーを二組見かけた。麓はすでに春の様相で、わずか一週間前には干上がってところどころの水たまりとなっていた川は、雪解け水で見事な流れに戻っていた。先週水たまりにうじゃうじゃと閉じ込められていた魚たちはうまく逃げられただろうか? いつも写真を撮りながらで、どうしても登るのか撮るのかどっちつかずになってしまうから、今回はアイスシーズン最終日ということで、撮影はなるだけ控えてアイストレメインにした。

当初今年は例の冷え込みのおかげで一週間ぐらい長く登れるかと思っていたら、三月に入って関東は二日連続で非常に気温の高い日があったためか、通常ならシーズン終わりごろの二月の末でもあれだけ状態が良く太かった松木沢沿いの氷瀑群は、もともと特に太いヤツだけを残してその後一週間で実に綺麗に跡形もなく消えていた。これでは終了は結果的に例年と同じかわずかに早かったかもしれない、平地の気温の変化に簡単に左右されるのは標高の低いアイスゲレンデの宿命ではあるが、今季はさすがに極端だ。

そのまだ残っていた氷瀑もヒョロヒョロで登るには厳しい状態に見えたのだが、それでも探してみればウメコバ出合の近所の、一日中日の当たらない氷瀑が、遠目にわりと良い状態に見えたので、そこで最後の氷を楽しんだ。ただこの氷瀑も下段はなかなか良かったものの、上段は薄くて最上部はすでに浮きはじめていた(360度画像で私の乗ってる辺りね)。

それにしても今季の気温の激変はなんなんでしょね。前の週はまだほぼ凍っていたウメコバ出合前の川床も、その後一週間ですっかり元の川に戻っていた。大きいほうの流れは雪解けで水量も多くなっているので、飛び石がうまくつながらず、はだしで渡るはめになり、「イッテー!!」と叫びながら渡ったり、冷たいことまあ。(帰りはザン靴で走って?突破しましたが)

それにしても、まあなんて言うんだか。今季のまとめとしては「体重戻さなきゃ…」につきるか。当社比10kg以上オーバーはいかんですよやっぱり。指の問題をカバーして、何とかクライミングを続けるべくアックスを握りやすいハンドルタイプに換えた。にもかかわらず前腕がばんばんパンプする。

しかも上手くいかない事はこれらだけではなかった。この日午前中のアプローチでは何事もなかったものが、午後になると突然花粉が総攻撃を開始した。冒頭のTHETAの360度画像は帰りの懸垂下降直前で、目は痒いわ、くしゃみ酷いわでボロボロのワタクシです。念のため持ってきていた薬を飲んで、ちょっと効いてもまだそんなザマ。

※ちなみに冒頭の360度フォトをあまりご存じない方向けに解説しますと、懐かしのウルトラマン系ポーズ(?)を決めているわけではなくて、突き出して大きく写っている手にカメラを握ってシャッターを押すと、カメラ本体は写らずにこうなります。こういう場合は壁側にカメラを持って撮ると、画面のほとんどが横の壁と人物の大写しになり、臨場感を出すには良い場合もありますが、多くは誰がどこで何をしているかさっぱりわからない写真になりがちです。そのため特に意図が無いなら、片側が壁の場合は無理のない範囲でカメラを壁から離すほうが吉と出る場合が多いのです。RICOH THETA等の360度カメラでこの手の自撮りをする場合はご注意を。

危険な改造

ブラックダイヤモンド社(以下BD)のワンタッチアイゼンのトーベイル(つま先の固定金具)をグリベル社アイゼン用のトーベイルに交換する人がいるらしい。特に細身でフィット感の良さそうなSPベイルに交換する人がいるようなのだが、実は私も他所でそれを見かけて試してみた口で、その結果アイスクライミング中にトーベイルが抜けてアイゼンが外れる事態になったのでここでご報告。

もともとこの手の改造は完全に自己責任で、それで事故が起きても誰にも文句は言えないし、化けて出るべきではない。でもできれば何事も無いに越したことはないので、私の結論としてはこの組み合わせは非常に危険なので絶対にやめたほうがいいと言っておく。

各社のワンタッチアイゼンのトーベイルをはめる穴は普通楕円で、ベイル側は棒の端がつぶされて、楕円の形と合ったポジションでだけベイルが抜き差しできるようになっているものが多い。つまり入れた角度とその180度以外、つまり通常使用される角度では抜けない仕組みなわけだ。だがグリベルアイゼンのトーベイルはBDアイゼンのトーベイルよりだいぶ細い。しかしBDアイゼン(今回試したのはサイボーグプロ)のベイルをはめる穴は当然だが自社のベイル用に太く、グリベル用の細いベイルではどの角度でも抜き差しができてしまう。つまりBD社アイゼンにグリベル社アイゼン用のトーベイルをはめると、ベイルの抜け止めが機能しなくなるのだ。

それでも実際に着けてみると、見た目はグリベルのベイルのほうがBDのベイルより穴に深く入っているので、「これだけ棒が深く入っていればそうそう抜ける事はないだろう」と、うっかり考えてしまいがちなのだが、実際には靴に横方向や捻りの力が加わったりすると、ベイルが広がって抜けてしまう事があるようだ。

人によっては「アイゼンの調整が緩かったのでは?」と思うかもしれないが、それまでに何度か調整を繰り返して安定した後だったのでそれはないと言える。それに経験上、人の体重がかかれば、相当うまく調整できたアイゼンでも使用中に軽いズレは起る。雪山で濡れた状態で装着していればなおさらだろうし、アイスクライミングであれば体重に加えて蹴りこみの衝撃も加わる。

そのアイスクライミング中に外れた時の動きを思い出してみると、モノポイントにしていた事もあって靴に若干捻りの力が加わったのだと思う。それはそれほど強いとは思えない力だったが、それでもベイルの外側がアイゼンの穴から抜けてアイゼン全体が外れた。

しかも踵が先に外れた場合と違って、フロントを固定するトーベイルが先に抜けると、いきなり蹴りこみも立ちこみも出来ない状態になる。トーベイルにユーロベイル(ストラップを通せる環の付いた細い金属板)があれば、こうしたときにいきなりの脱落を防いでくれる効果があるが、ユーザーによってはユーロベイルを邪魔として外してしまう人もいる。もしユーロベイルを外した状態で最初にトーベイルが完全に抜け落ちてしまったら、当然トーベイルはどこかに落ちてしまうから、その場でセルフをとって強引に嵌めなおす事も不可能になる。もしそれがいわゆる本チャンの最中だったら… どうなるかは考えるまでもないと思う。
最近のBD社のアイゼンはユーロベイルを省略しているが、それは前述した抜け止めに自信があるからではないかと思う。だからこそその抜け止めを無効にしてしまう改造は怖い。

実際には靴との相性やルート内容の違いなどで、今までたまたま問題なく使えている場合もあるかもしれないが、トーベイルの抜け止めが無効になる時点で、この組み合わせは危険でやるべきではないと考えたほうがいいと私は思う。

※写真–ソロだったんで、急遽アバラちゃんで降りるはめに…