このネタ、前にやっていたサイトでも書いたかもしれませんが…。

カメラの外装に金属しか選択肢がなかった時代を除いて、銀塩カメラ時代まではエンプラ(エンジニアリングプラスチック)のカメラが多く、キヤノンもニコンも一度は最高機種にまでエンプラ外装を採用しましたが、今はほとんどエントリー機種しかないですね。

転機は2003年発売で比較的安価にもかかわらず外装にマグネシウム合金を使ったEOS10D辺りでしょうか。それから他社も中級機種にまで金属ボディを使うようになりました。

それもこれも機械マニアの男どもに金属ボディを欲しがる人が多かったからだと思いますが、カメラを磨いて愛でる趣味がない私は、何でも金属という今の傾向には反対です。

プラスチックボディは多少の衝撃ではへこまない。まあ凹みは衝撃が加わった証拠で不具合を事前に察知できるという考え方もあるようですが、へこんだおかげで内部部品と干渉して不具合が起きたり、ゆがんだ外装の隙間から水が入るトラブルもあったりします。

私が考えるプラスチックボディの利点は、軽い事と冬の撮影で冷たくならないことです。一部部品の発熱が大きいデジタルカメラでは、これは廃熱の点で微妙なのかもしれませんが、低温に弱いバッテリーには悪くない話ですし、何より手が冷たくならない事は冬の風景撮影では非常にありがたい事です。

冬の風景撮影で気温がマイナスになると、金属ボディのカメラはまるで氷を握っているように冷えてしまい、機種によっては厚いグローブをしていても辛いです。この点他は金属でもグリップ部分がエンプラだったニコンのD750はよく出来ていました。逆にD800は非常に冷えて手持ち撮影はかなり辛かった。

カメラの強度の点でもしっかり作られたエンプラ外装なら中級機種までのペラペラのマグネシウム外装とは差がないか、エンプラのほうがもしかしたら強いかもしれません。エンプラ外装だったEOS D60(60Dではない)は、持っただけで非常に堅牢とわかる作りでした。キヤノンのカメラであんなにガッシリしていたカメラはEOS-1系以外では記憶にありません。

金属外装には防磁効果もありますから電磁波が特別強い環境では有利かもしれません。ですが電磁波でカメラが誤作動するような環境は軍艦のレーダーの真下とかデータセンターのサーバー室とかぐらいしか思い浮かばず、そうした特殊な用途以外ではほとんど無視できるでしょう。そもそも今のカメラの外装はWifiやBluetoothのアンテナを内蔵するために、どこかしら金属でない部分があるものですし。

少なくとも風景撮影に多く使われる機種は、グリップだけでもいいからプラスチック外装を復活させてほしいです。